高僧の呪文(じゅもん)で蛙に変身した男の逸話
蛙男(かえるおとこ)と金峯山寺(きんぷせんじ)

第二十四話
 

 延久(えんきゅう)年間(1069年頃)のこと、金峯山へ参詣する修験者の一行の中に、つねづね神仏をあなどる男がいた。

あるとき、この男が行者の精進や仏の力を侮辱する言葉をはいた。
すると突然、空一面まっ黒な雲につつまれ、その男は一羽の大きな鷲に断崖絶壁の上へさらわれてしまった。

さすがに男も怖くなり大声で助けを求め、改心を誓ったので、これを憐んだ高僧は男を蛙の姿に変えて助け出し蔵王堂につれて帰った。そこで吉野全山の僧が集まり読経し、その蛙になった男をもとの人間にかえしてやったという。

現在、金峯山寺の有名な行事として知られる、蛙が人間の姿にもどる形を再現して演じられる「蛙飛び行事」は、この伝説が起源といわれている。