闇夜でも大阪湾まで照らした
黄金(おうごん)の塔(とう)と大安寺(だいあんじ)

第二十三話
 

国の官寺として威容を誇った大安寺には、東西両塔が高くそびえていた。

その塔は黄金造りであったため、闇の夜でも眩しく輝き、その光は山を越えて、はるか彼方の大阪や堺の海まで照らしていた。

塔が放つ光があまりに明るいので、大阪や堺の海では魚が取れなくなり、困った漁民たちはついに大安寺に押し寄せ、火を放って塔を焼き払ってしまった。
以来、魚も取れるようになったという。

また、その大安寺の塔の礎石(そせき)を盗もうと、ある夜、ひとりの石工が西塔の礎石に近づき割りかけると、突然、石の中からまっ赤な血が噴き出した。
驚いた石工は急いで逃げ帰ったが、その石工は病にかかってしまったという。

今も国の史蹟として大安寺周辺は保存され、塔跡には史話を物語る大きな礎石が残っている。