唐の国で鬼と蜘蛛(くも)に助けられた
吉備真備(きびのまさび)と御厨子観音(みずしかんのん)

第二十二話
 

717年唐に渡った吉備真備は聡明であったため、ねたんだ唐人たちに高樓に閉じ込められ、食事も与えられなかった。

するとある夜鬼が現われ、もとは日本の遣唐使であったが、この高楼で飢え死にした身の上を話し、この国の様子を教えた。
翌朝、鬼に食われなかった真備に驚いた唐人は、次つぎに難題を投げかけた。

ある日、唐の帝の前で邪馬台の詩を読むよう命じられたが 文字が見えず困っていると、突然一匹の蜘蛛が天井より降りて詩文の上を這っていった。
不思議に思ってその糸筋をたどってみると文を読みおえることができたという。

この時、真備は日本から持って行った酒で元気を奮い立たせたといわれている。

現在も、真備が我が子善覚律師に命じて観音堂を創建したのが始まりという御厨子観音には、観音に供えた酒を参詣人に振る舞う邪馬台酒のならわしが残っている。