巨岩一投(きょがんいっとう)で戦(いくさ)に勝(か)った怪力天狗(かいりきてんぐ)
神野山天狗(こうのざんてんぐ)と神野寺(こうのじ)

第十九話
 

昔、神野山(こうのざん)に大和天狗の大将である鼻高天狗が住んでいた。

ある日、日頃から仲の悪かった、東隣りの伊賀の国(現在の三重県)の青葉山に住む伊賀天狗の大将から喧嘩を挑まれた。

思案の末、神野山天狗は、谷川から運び上げた八畳敷の巨岩を頭上にさし上げて、相手方をにらみつけた。
それを合図に戦闘が始まり、青葉山天狗とその子分たちは、牛ほどもある石弾をつぎつぎと神野山に向かって投げつけ、ついには石を投げ尽くしてしまった。

この機会を待っていた神野山天狗は、最後に飛んできた石を拾うと、満身の力を込めて青葉山へ投げ返した。
すると、青葉山天狗の大将の右ひじに見事命中し、伊賀天狗は降参したという。

この山の古寺・神野寺には、天狗が登り降りしたという”天狗杉”が現在も残っている。