竜に教えを説き宝の玉をもらった
僧慶円(そうきょうえん)と平等寺(びょうどうじ)

第十七話
 

今から8百年ほど前のこと、三輪山の麓に弘法大師の生まれかわりだといわれたほど、えらい高僧・慶円(きょうえん)が住んでいた。

ある日、室生の爪出橋(つめでのはし)の上に、薄着で顔を覆った美しい女性が佇(たたず)んでいた。

信心深い慶円は、その女性が竜の化身であることはすぐわかったが、夕暮れ時にここにいる理由(わけ)を尋ねた。

すると天女は、天に登りたいが仏の教えを知らないので満願成就ができないといった。
そこで慶円が天女を教化(きょうげ)すると、お礼に美しい玉を渡して、喜んで天に登っていったという。

竜の玉を手に三輪山の平等寺に帰った慶円は、さらに名僧の名を高め、生涯人々から父母のごとく敬(うやま)われた。

平等寺には、僧慶円の本像が現存している。