呪術(じゅじゅつ)で鬼を退治した役行者(えんのきょうじゃ)・小角(おづめ)の逸話
鬼の金縛り(おにのかなしばり)と吉祥草寺(きっしょうそうじ)

第九話
 

今から、1350年ほど昔のこと、大和の国茅原(ちはら)の里で生まれた小角(後の役行者)は、幼い頃から呪術にかけては特異な才能を持っていた。

優れた修験者になるため、山に籠り厳しい修練を重ねた小角は、ついに金剛山で法起菩薩を感得し、神通力を持つようになった。

ところがある夜、孔雀明王が夢枕に立たれ、生駒山の二匹の鬼を不動緊縛(ふどうきんばく)の術で捕らえ、人々を救えと告げられた。
すぐさま生駒山に籠り、行をすると満願の日に鬼が現われ、小角が秘法をつかうと鬼は全身がしびれ動けなくなったという。

この小角が生まれたといわれる現在の吉祥草寺には、生駒山で術をかけられ、以来弟子になったという前鬼(ぜんき)義覚、後鬼(ごき)義賢の像や小角が産湯をつかった境内の井戸が今も残っている。